四月の番組改編で、日本テレビとフジテレビが、新たに
ドラマの枠を増やす。主演の俳優陣や視聴率など、常に話題の中心となるコンテンツであることは間違いないが、なぜ今、増やすのか。局側の思惑や狙いを探った。
日本テレビは、火曜午後十時に三つ目のドラマ枠を新設。第一弾として、
コミック原作の「
セクシーボイス アンド ロボ」を放送する。
編成局編成部の沢桂一副部長は「十数年前から切望していたが、当時はバラエティー全盛期。やっと機が熟して実現した」と話す。
同局は「ごくせん」「女王の教室」などで、「C層(4〜12歳の男女)、T層(13〜19歳の男女)+F2層(女性35〜49歳)」など幅広い視聴者層を“開拓”した。沢さんは「
子どもの
地上波番組の見方が変わった。アニメを放送してもなかなか見てくれず、逆に二十一時以降のドラマを見ている。十年、二十年前では考えられなかった現象で、生活習慣の変化にも対応していく必要がある」とドラマ枠新設の狙いを明かし、「社会性ある水曜ドラマ、家族で見られる土曜ドラマに加え、もう一枠で、そこには当てはまらない幅の広いドラマを提供できる」と力を込める。
フジテレビも、金、土曜日の深夜帯に二枠を新設する。
バラエティー制作センターが携わる「スリルな夜」(金曜午後11時)は、お笑い芸人を主役にした本格的ドラマ。十代やF1層(女性20〜34歳)、M1層(男性20〜34歳)をメーン
ターゲットとした「ライアー
ゲーム」(土曜午後11時10分)は、プライムタイム(午後7−11時)では成立しにくかった企画を取り上げ、クリエーター、主役級俳優の育成ももくろむ。
フジは、F1層、T層に強いとのイメージが濃かったが、いずれも、新たな挑戦という色合いを感じる。「“最大公約数的なドラマ”という概念は、薄れつつある。これまでの連ドラの概念を壊したところから、新しいドラマは生まれる」とドラマ制作センターの石原隆室長。
さらに「次のドラマの潮流を探るには、とにかくドラマの幅を広げ、挑戦し続けるしかない。それが、ドラマ枠が増えている要因ではないか」と分析し、「ドラマに限らず、
日本映画の活況、海外テレビドラマの人気、地上波以外のメディアなどで、視聴者のニーズが開拓されてしまった」と語る。
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新たな潮流を探る一方で、いずれの局もメーンターゲットは、前述の「C・T+F2層」だ。
「八〇、九〇年代のドラマ全盛期に、熱心に見ていたF1層が今やF2層。ドラマを見る目、習慣ができている」と各局は口をそろえる。
一方、昨年四月から、金曜午後九時にドラマ枠を設けたテレビ朝日。五十嵐文郎制作2部長は「二時間ドラマが増えたり、一時間ドラマが増えたりという波はこれまでもあった。主役級の取り合い、視聴率の低迷など、いろんな要素を受けて、また、減っていくかもしれない」と予測する。
フジテレビが新設した枠は、テレ朝が二〇〇〇年から始めた金曜ナイトドラマと同じ枠。五十嵐さんは「映画と連動したり、
プライムへ進出したりした番組も生まれた。プライム外であるため、自由にでき、若い人材の育成などもできている」と自信をみせる。
だが、増え続けるドラマについては、「週十五本以上ある中から、視聴者は選択して見ている。同じ方向を見ているわけにはいかない。幅広い企画、広いターゲットを狙いたい。枠を定着させるのも、なかなか大変。三−五年のスパンでみていきたい」と慎重だ。
新しい視聴者層の開拓、スタッフやキャストの育成など、さまざまな狙いと思惑があって増えるドラマ枠。試されているのは“視聴者の目”だ。